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エボラ出血熱:帰国者対応、米の国内対立は深刻


http://mainichi.jp/select/news/20141030k0000e030191000c.html

エボラ出血熱:帰国者対応、米の国内対立は深刻

毎日新聞 2014年10月30日 10時53分(最終更新 10月30日 12時18分)

 【ワシントン及川正也】西アフリカでエボラ出血熱の治療に携わり、帰国した米国人医療従事者らへの対応を巡り、科学的根拠に基づく「柔軟」な措置を訴える米政府と、国民の不安に応える「厳格」な措置をとる一部州の間で対立が深まっている。両者の論争は過熱し、間近に迫った中間選挙の争点にも浮上している。


 オバマ大統領は29日、ホワイトハウスにエボラ熱患者を治療した医師や看護師らを招き「米国の英雄」と称賛。エボラ対策の「最善の方法は流行を発生地で根絶することだ」と強調し、医師らの役割の重要性を強調した。

 米政府の指針では、防護服無しでの治療など感染リスクが高い場合に限り、医療従事者の外出や旅行を制限するが、感染の兆候が出るまで隔離はしない。流行地域への医師らの渡航意欲をそがないようにとの配慮もある。

 しかし、29日には新たに西部カリフォルニア州が西アフリカからの入国者や、エボラ熱患者に接触した人を一定の条件下で「強制隔離」すると決定。ニューヨーク、ニュージャージー両州を皮切りに導入された「強制隔離」やそれに準じる厳しい指針を採用する州は、米メディアによると少なくとも8州に増えた。

 背景にはエボラ熱の拡散に対する米世論の懸念の広がりがある。29日発表のCBSテレビの世論調査では80%が西アフリカからの帰国者全員の隔離を支持した。強硬派の急先鋒(せんぽう)でニュージャージー州のクリスティー知事(共和党)は「(強制隔離は)世論の常識だ。微動だにしない」と強調し、オバマ政権と対立。CNNテレビの調査では中間選挙の投票判断で36%がエボラ熱問題を「極めて重要」と回答するなど、選挙戦を左右する課題に浮上した。

 強硬措置への抵抗も表面化した。ニュージャージー州の病院に隔離され、感染が確認されず自宅があるメーン州に戻った女性看護師ケーシー・ヒコックスさん(33)は、「自宅隔離」を求める州当局の要請を拒否した。29日にテレビ出演したヒコックスさんは政府指針に基づき体調を自己管理しており、感染の兆候もないと指摘。「制約が続くなら裁判所に訴える」と表明した。弁護士も「強制は正当性がなく違法だ」と批判している。

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