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どうなるエボラ 「薬で流行阻止できず」 専門家に聞く




2014.09.24

どうなるエボラ
「薬で流行阻止できず」
専門家に聞く




西アフリカでのエボラ出血熱の拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)は来年2~5月の流行終息を目指すとの行程表を8月末に公表し国際社会に支援の拡大を求めたが、患者は2万人を上回る恐れがあるとWHOはみる。医療が整った先進国で流行する可能性は低いが、デング熱対策に悩む日本にも新興感染症の脅威は人ごとではない。エボラをめぐる疑問点を専門家らに聞いた。
 ▽防御の基本
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 エボラウイルスは発病した患者の血液や体液に混じって排出されるため、それらに触れなければ感染しないとされる。葬儀で死者の体に触る風習が流行拡大の要因といわれるが、防護服に身を包んでいるはずの医療従事者の死亡も多い。
「防護服をもっと厳重にすればという問題ではない。手を洗うなど基本的な防御策を徹底しにくいことが重大」と話すのは、WHOチームの一員として7月にシエラレオネの病院で患者治療に当たった東京都保健医療公社豊島病院 の足立拓也医長(感染症内科)だ。
 支援があっても物資不足は深刻で、ゴーグルを塩素消毒して再利用するスタッフもいた。人手不足のため消毒液の補充がない日も。そんな中、患者の血液や排せつ物にさらされる医療者は、わずかな気の緩みも感染リスクに直結する。
 一方、ウイルスは遺伝子変異を起こしやすい。現在はウイルスが傷口や粘膜から体内に入って感染するが、今後、空気感染するように変わる恐れはないのか。
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 エボラウイルスに詳しい高田礼人北海道大教授は「そこまでの変異は極めて考えにくい」と話す。だが、変異によって現在の診断法で検出しにくくなるなどの支障が出る恐れは十分ある。
 ▽未知数
 「企業とも協力し、未承認薬を提供する用意がある」。菅義偉官房長官が8月25日に発表した。富士フイルム 傘下の富山化学工業 が開発したファビピラビルのことだ。
 日本で今年3月にインフルエンザ治療薬として承認された薬だが、少数のマウスの実験でエボラに効果がみられたとの論文が発表され、にわかに注目が集まった。どの程度期待できるのか。
 専門家らはまず「薬で流行は阻止できない」と口をそろえる。インフルエンザ治療のための臨床試験(治験)は行われたが、エボラ患者への有効性は未知数。エボラ治療では服用量がインフルより多いとみられるため、安全性データもそのまま使えるわけではない。
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 富士フイルムによると、製造済みの錠剤の在庫はエボラでの使用を想定しても2万人分以上あり、有効期限(5年)も問題ないという。米国で企業がサルを使った実験に取り組むと報じられており、結果が注目される。
 ▽関心低下
 今回の流行は昨年12月に始まり、3月に急拡大した。現地で活動する非政府組織はWHOの対応の遅れを批判している。
 新型肺炎(SARS)が世界に広がった2003年、WHOで対策を担当した押谷仁東北大教授(微生物学)は「WHOが新興感染症対策に使える資金や人員は以前より減っており、その影響は否定できないと思う」と話す。
 国境を越えて広がる感染症への関心はSARSを契機に高まったが、09年に「新型」として流行したH1N1型インフルエンザがそれほど重大な打撃をもたらさなかったこともあり、主要国の関心は低下した。さらに経済悪化で各国に資金的な余裕もなくなった。
 押谷さんは「世界規模の感染症リスクはむしろ増大しており、態勢を保つ必要性は明白だ。しかし現在の経済情勢で現実にどこまで資金を確保できるかという問題はある」と難しさを指摘する。(共同通信 吉本明美)


http://www.47news.jp/feature/medical/2014/09/post-1163.html

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