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人間を爆裂させる「エボラ」は本当に天然ウイルスか? 生物兵器の可能性に科学ライターが迫る!

猛毒をふるう、エボラウィルス 
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人間を爆裂させる「エボラ」は本当に天然ウイルスか? 生物兵器の可能性に科学ライターが迫る!

2014.09.04

■エボラ出血熱とは?

 今年に入り、西アフリカで爆発的な流行を起こしているエボラ出血熱。致死率は最大90%以上、最短1週間で死に至るという、人類史上、最も危険なウイルスのひとつだ。エボラウイルスは高い致死率もさることながら、その症状が凄まじい。

■エボラの症状 皮膚・目・脳

 感染初期に罹患者の免疫の生化学反応系を阻害して麻痺させ、その間に増殖する。最初は咳や発熱から、風邪だろうと考えていているうちに、エボラウイルス特有の症状が現れ始める。

 血管という血管にウイルスが固まって血栓を作るために、血が流れなくなり、次々に臓器が死に始める。皮膚の下で増殖を始めたウイルスは、コラーゲンを食べて液状に変えてしまう。コラーゲンは肌を支える皮膚の骨組みだ。それが溶かされてしまうために、皮膚はブヨブヨの水風船のようになる。青紫色の死斑が浮かび、発疹ができる。血管も破壊され、全身の毛穴という毛穴、鼻の穴や耳などからも血が流れ出す。

 エボラウイルスは目の中でも増殖する。目の血管が切れ、真っ赤に充血、血の涙が流れ始める。血の涙は止まらない。ウイルスが血球を破壊してしまうため、血が固まらないのだ。

 ウイルスは脳も破壊する。血流が止まることで顔面神経が麻痺し、能面のような無表情になる。日に日に意識はなくなり、ロボットのように機械的な動作しかできなくなる。絶え間なく吐き気が襲い、溶解した内臓とウイルスと血が混ざり合った真っ黒な液体を吐き続ける。まるでゾンビだ。最近のゾンビ映画では、目から血の涙を流し、口から黒い血を吐くゾンビが増えているが、エボラ出血熱の患者がモデルなのかもしれない。

■感染力の鍵は人体爆発

 エボラウイルスは極めて脆弱なウイルスだ。乾燥に弱く、インフルエンザウイルスのように空気感染することができない。罹患者の体を離れると数時間しか生存できないほどだ。そこでエボラウイルスは脆弱でありながら、最大に感染率を高める方法を編み出した。 

 宿主を内側から炸裂させるのだ。

 エボラウイルスは最後に人体を炸裂させる。炸裂するとウイルスがたっぷり詰まった血液が、周囲数メートルにべったりとばらまかれる。“放血”という。患者が放血した部屋は、床も壁も天井にまでも血がぶちまけられるため、閉鎖するしかないのだそうだ。

■生物兵器? その正体は?

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 エボラウイルスの、あまりにも殺人に特化した性質から、本当に天然に存在するウイルスなのか、いぶかしむ人が少なくない。しかも今回の流行は、過去40年間のエボラ出血熱の流行とは桁が違う。エボラ出血熱は1976年に発見され、それから約40年間で1600人が死亡したが、今回は今年に入り、すでに1400人以上が死亡しているのだ。そのため、細菌テロか人為的に改良されたウイルスではないか? と深読みする評論家もいる

■エボラウイルスの治療薬を巡る米国防総省の動きは、2012年に始まった

 2012年10月4日、CDC=米国疾病管理予防センターは遺伝子解析が終わったエボラウイルスの特許を取得した(申請は2007年)。遺伝子配列が判明しているエボラウイルスは、系統化された実験用のマウスやモルモットと同様、ワクチン開発や生体での生化学反応の実験などに利用できるのだ。特許取得直後、米国防総省は製薬会社各社に対して、莫大な開発資金援助をスタートする。

 エボラウイルスの特効薬として、2014年8月に米国人医師に投与された「ZMapp」が話題になった。開発したマップ・バイオファーマシューティカル社は米国のベンチャー企業で、米国防総省から資金援助を受けているという。

 富士写真フイルムの関連会社、富山化学工業が開発した抗ウイルス剤「ファビピラビル」は、インフルエンザから鳥インフルエンザ、エボラ出血熱まで、ウイルス性疾患全般に効くとして注目されている。ウイルスは増殖する際にRNA(=DNAに寄り添うように存在するリボ核酸)をコピーするが、そのプロセスを阻害するのだ。2014年8月8日付の日本経済新聞は、同社と同社の提携企業である米メディベクター社に対して、米国防総省が2012年に約1億3850万ドル(約140億円)の資金援助を行ったと報じた。

 同様に、エボラウイルスの治療薬「TKMエボラ」を開発したカナダのテクミラ・ファーマシューティカルズ社に対しても、国防総省は1億4000万ドルの資金提供を行っている。

■エボラ流行で株価が上昇!?

 新薬の開発には莫大な費用がかかる。エイズの特効薬のような抗ウイルス剤は数百億~1000億円もの巨費が必要と言われる。エイズのように患者数が膨大な病気は、それだけの費用を投じても採算が合うだろうが、エボラ出血熱のような風土病に近い病気で、40年間で感染者の総数が5000人前後の病気では、元が取れないのだ。ところが国防総省は、そんなマイナーな病気に予算をつけ、資金提供を行っている。

 今回の流行は2013年12月にギニアの幼児がウイルスの一次宿主であるコウモリを食べた(一部地域では、コウモリは食用である)ことから始まったと言われている。国防総省がメーカー各社に資金提供を始めた、そのたった1年後に今回の大流行が始まったのだ。

 偶然にしてはできすぎではないか?

 エボラウイルスを兵器化するには、ワクチンが必要だ。ワクチンもないウイルスでは、自国民まで殺してしまう。そんなものは兵器にはならない。逆に言えば、今回の流行で有効なワクチンが見つかれば、エボラウイルスが生物兵器として使えるということになる。

 テクミラ・ファーマシューティカルズ社の親会社は、遺伝子組み換え食物で悪名高きモンサント社である。エボラ出血熱騒動で、各社の株は急上昇中だという。

 本当にこれは自然現象なのか? 殺人ウイルスをまき散らし、人体実験を行うような非道が行われているとは考えたくないのだが……。

(文=川口友万/サイエンスジャーナリスト/著書『大人の怪しい実験室』)

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