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[FT]エボラ熱拡大、カカオ産業に警戒感


 [FT]エボラ熱拡大、カカオ産業に警戒感

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    2014/9/30 14:00



 エボラ出血熱の流行による人的被害は空前の規模に拡大している。感染者数の多さは記録的で、新たな症例が連日報告されている。

 その死に至るウイルスの影響が商品市場にも及び始めた。カカオ豆の相場が3年半ぶりの高水準に達しているのだ。西アフリカ最大のカカオ豆の生産地であるコートジボワールに流行が広がる懸念を投資家やトレーダーが考慮するようになったからだ。
ガーナはカカオ豆の生産地として名高い=ロイター
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ガーナはカカオ豆の生産地として名高い=ロイター

 アフリカの大手銀行、エコバンクの調査部門のトップ、エドワード・ジョージ氏は「仮にエボラ出血熱がコートジボワールで流行すれば、カカオ豆の相場はあっという間に2倍に跳ね上がる」と予測する。

 これまでにエボラ出血熱の発生はシエラレオネ、リベリア、ギニアで確認されたが、こうした国々でのカカオ豆の生産量は微々たるものだ。だが、リベリアとギニアはコートジボワールと国境を接している。コートジボワールはチョコレート原料としてのカカオ豆の供給量の約4割を担っている。

 コートジボワールではエボラ出血熱の感染がまだ確認されていないが、市場はエボラウイルスがさらに広がるとの観測に敏感に反応している。米疾病予防管理センターは、2015年1月までに感染者が西アフリカで140万人に達すると予測する。ロンドンを拠点とする商品ブローカー、マレックス・スペクトロンの農産物部門の責任者の1人であるジョナサン・パークマン氏は「カカオ豆市場は(エボラ出血熱の感染拡大への)懸念により不安定になっている」と指摘する。

■コートジボワールとガーナへの波及を憂慮

 最も憂慮される事態は、リベリアとギニアのエボラ出血熱の感染者が治療のためコートジボワールに移送される可能性があることだ。ナイジェリアやセネガルは感染地域との人の往来によりエボラ出血熱の感染者が確認された。コートジボワールと周辺国との国境は「穴だらけで管理が困難だ」と、業界団体である国際ココア機関の担当者は嘆く。

 コートジボワールにウイルスが侵入した場合、当局はカカオ豆生産者の移動を制限するかもしれない。「そんなことが(カカオ豆収穫の)最盛期に起きたら大変なことになる」と、カカオ豆の専門家は語る。

 (エボラ出血熱が発生した)ギニア、リベリア、シエラレオネの3国はすでに、国内の生産地をほかの地域から隔離し、生産者の移動を規制している。

 エボラ出血熱がコートジボワールで発生した場合、そこからガーナに広がる事態が考えられる。ガーナはカカオ豆の供給量で世界全体の2割を占める大産地だ。これこそ市場関係者が恐れるシナリオである。ネスレやキャドバリーをはじめとする世界のチョコレート産業は西アフリカ産のカカオ豆なしにビジネスが成り立たないのだ。



 [FT]エボラ熱拡大、カカオ産業に警戒感

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    2014/9/30 14:00



■カカオ豆相場、11年後半以降で最高値

 ギニア、リベリア、シエラレオネの3国を合わせたカカオ豆の年間生産量は約2万1000トンで、世界全体の420万トンに比べればわずかだ。だが、コートジボワールは160万トン近く、ガーナは90万トンにのぼる。

 こうした警戒感が嫌われ、カカオ豆の相場は過去2週間で10%上がった。ロンドン市場の指標価格は先週、1トン2166ポンドで、11年後半以降の最高値に達した。

 カカオ豆にかかわる企業幹部や専門家は過剰反応をいさめている。西アフリカではこれまでにも内戦やクーデターが繰り返されてきたが、こうした困難にもかかわらず、西アフリカはカカオ豆を世界に供給してきた。

 コートジボワールにおけるカカオ豆の本格的な収穫期は普通、10月中旬から翌年3月まで。カーギルのように西アフリカで活動するカカオ豆の貿易や加工に携わる企業は、いまのところエボラ出血熱によってビジネスが影響を受けている事実はないと主張している。だが、この地域では、複数のカカオ豆の輸出業者がスタッフの移動を制限されている。アフリカの大手農産品商社のオラムは、ナイジェリアにおける同社の業務について「いつもより用心が必要だが、通常と同じ業務をこなしている」と説明した。

 それでも神経を使う要素はある。カカオ豆の加工で世界最大規模の企業であるバリーカレボーは来月、コートジボワールの首都アビジャンで予定していた毎年恒例の管理職の会議を取りやめた。コートジボワールによるカカオ豆の積み出し港であるサンペドロ港への寄港を船の乗組員が拒否する事例も散見される。

 世界保健機関(WHO)が公表した最新データによると、エボラ出血熱による死者数は3000人近くに達した。米疾病予防管理センターは、リベリアにおける感染者数は15~20日間で倍増し、シエラレオネではこのペースが30~40日間ごとになっていると推定している。

 ほかの農産品の関係者もエボラ出血熱の感染状況に関心を示している。西アフリカはカシューナッツとゴマの産地としても有力だからだ。ゴマの相場はいまのところ影響を受けてはいないが、カシューナッツ業界は今年、ガーナで予定されていた交易展をキャンセルせざるを得なくなった。

 マビガという商社に勤めるクリスチャン・ルード氏は「小さなニュースがすぐに広がる状況にある」と述べた。

By Emiko Terazono

(2014年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H0M_Q4A930C1000000/

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