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米国のエボラパニックを助長する「当局への不信感」


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42093

米国のエボラパニックを助長する「当局への不信感」

2014.10.30(木)  Financial Times

(2014年10月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米NY州、エボラ対策の強制隔離を緩和 オバマ政権が圧力

自分か親友、親類のいずれかがエボラ出血熱にかかるだろうと考えている米国人の割合は45%を超えているという(写真は米ニューヨーク市で、防護服を着て路上に立つ男性)〔AFPBB News〕

これまでの死亡率に基づいて計算すると、米国人がエボラ出血熱で亡くなる確率はキム・カーダシアン*1と結婚できる確率よりも低い――。そんなツイートが発信されている。

 しかし、科学的な議論に固執する連邦政府と、一人また一人とパニックに感染していく遊説中の政治家たちとの間で多勢に無勢の綱引きが行われている現状は、冗談では済まされない。

 カイザー・ファミリー財団によれば、自分か親友、親類のいずれかがエボラ出血熱にかかるだろうと考えている米国人の割合は45%を超えている。また、ギニア、シエラレオネ、リベリアと米国の間の渡航禁止を支持する人の割合も4分の3を超えている。
米国人を襲うパニック、選挙をにらんだ慌ただしい動きも

 リードしているのは共和党だが、このパニックは次第に超党派の様相を帯びつつある。ここ数日で3つの州――ニューヨーク、イリノイ、ニュージャージー――が、エボラ熱の患者と接触した人全員を21日間強制隔離することを決めた。3州のうち2州の知事は民主党で、どちらも来週行われる選挙で再選を目指している。

 連邦議会の中間選挙に臨む民主党の候補者たちは、渡航禁止に反対するバラク・オバマ大統領の姿勢は受け入れられないと、大慌てで反発している。批判されているケイ・ヘイガン上院議員(ノースカロライナ州)や厳しい戦いに臨むジーン・シャヒーン上院議員(ニューハンプシャー州)などがそうだ。

 このパニックの根底には、当局に対する国民の強い不信感がある。この不信感は、エボラ熱への連邦政府の対応を主導している疾病対策センター(CDC)など、エボラ熱以外の分野では尊敬を集めている機関にも向けられつつある。オバマ氏の発言を国民のかなりの部分が自動的に割り引いて聞いてしまうことも助けにならない。

 しかし科学――そして、科学を振りかざす政府機関――への不信感ゆえに、相反する主張をする人々が団結するようになっている。子供への3種混合ワクチンの接種、水道水へのフッ素添加、そしてその他の公衆衛生キャンペーンに反対する草の根運動家たちは、科学的な証拠を受け付けないように見える。

*1=米国の人気タレント。ラップ歌手の夫との間に娘がいる

エボラ出血熱、「植民地支配からの不信感」で対応困難に

リベリアの首都モンロビア(Monrovia)に国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres)が設置した医療施設で、エボラウイルスに汚染された区画に防護服を着て立つスタッフ(2014年9月7日撮影)。(c)AFP/DOMINIQUE FAGET

エボラ出血熱、「植民地支配からの不信感」で対応困難に

2014年09月09日 09:59 発信地:ダカール/セネガル

【9月8日 AFP】西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱をめぐり、一部の人々の間で、この感染症の存在自体を否定するという奇妙な現象が起きている──自分の家族や友人など身近な人が感染しているにもかかわらずだ。

 犠牲者の数が2000人を超える中、エボラ出血熱を「でっち上げ」と主張する一部集団により、医療従事者の作業には支障も出ているという。

 深刻な感染の拡大に直面している地域に約1か月間滞在した、セネガルのシェイク・アンタ・ジョップ大学(Cheik Anta Diop University)教授で著名な人類学者のシーク・イブラヒム・ニャンゴ氏は、この「エボラ否定」は想像以上に複雑な問題だと指摘する。「エボラ出血熱が存在しないと主張する人々は、『何か』に反抗している。彼らは、与えられるべき情報が与えられず、権力に操られていると感じているためだ」と説明した。

 現地で働く医師や看護師(多くは国際機関に所属)は、エボラウイルス以外にも、コミュニティーに深く根付いた『不信感』とも闘っている。そのなかには、ウイルスが欧米諸国によって作製されたものだとか、感染症のそのものが作り話という「風説」もある。

 8月には、リベリアの首都モンロビア(Monrovia)にあるエボラ出血熱患者の隔離施設が、「エボラなんて存在しない」と叫ぶ若者たちからの襲撃を受け、患者ら17人が逃げ出した。感染地域では、こうした事例がしばしば見られるという。

「彼らがエボラを否定する背景には何があるのかを考えないといけない。それが情報不足と感じていることなのか、あるいは予防策や医療行為に納得していないのか」(ニャンゴ氏)

 世界保健機関(World Health Organisation、WHO)の最新の統計によると、これまでの感染者は4000人を超え、死者は2000人以上となっている。

■植民地時代の遺産

 ニャンゴ氏は、国境の閉鎖は誤った対処法の一例だという。感染症リスクのある周辺地域の人々に誤った安心感を与え、地域全体に気の緩みを生じさせる可能性があるためだ。

「アフリカには、街やコミュニティーに迫る森林火災では、その出火元での対処が重要になるとの隠喩がある。火が自分の家に迫ってきたときに備えて、バリケードを作ったり水をため込んでおいたりしても、火を消すことはできない。国境線は植民地時代の遺産であり、人工的に引かれたものだ。そのために、夜間には多くの人が越境している」

 ニャンゴ氏は、医療的なアプローチだけでエボラ出血熱を封じ込めようとしても、「限られた成功」しか得られていないとみている。地元住民の感情を考慮しておらず、「病気だけを見て文化的背景を見ていない。それが、対策に対する反応がなかなか見られない理由の一つ」と続けた。

 アフリカの人々が、医療行為に効果がないと思っているわけではない。問題は、自分たちの土地に「新しい文化」を持ち込んで、「ああしろこうしろ」と言われることに対して不信感を持っていることだ。(c)AFP/Malick Rokhy Ba

http://www.afpbb.com/articles/-/3025385

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