エボラワクチン、6月末までに数十万人分 WHO見通し
松尾一郎=ジュネーブ、伊藤綾
2014年10月24日23時40分
世界保健機関(WHO)は24日、開発中のエボラ出血熱の感染を防ぐためのワクチンについて、2015年6月末までに数十万人分、同年末までに数百万人分が製造されるとの見通しを示した。この日の会見で、WHOのキーニー事務局長補が述べた。
特集「エボラ出血熱」
最も開発が進んでいるのは、英国グラクソ・スミスクライン社などによるワクチンとカナダの政府系研究所などによるワクチンの2種類で臨床試験の結果が今年12月にも出る。結果次第で同月中にもリベリアなどで医療従事者らに接種し効果などをさらに調べる。
一般人も対象にした大規模なワクチン接種について、キーニー氏は「来年6月より前にはない」との見方を示した。
WHOは14日の時点で、今年12月には感染者の増加が毎週5千人から1万人に膨らむ恐れもあるとの見通しを示している。
厚生労働省は24日夜、専門家会議を開き、国内でエボラ出血熱の患者が出た場合に、医師の判断で未承認の治療薬を投与することを認める方針を決めた。有効性が確認されていないことなどを患者に説明し、同意を得るのが前提。富士フイルム傘下の富山化学工業が開発した「アビガン」を主に想定している。
また、厚労省は同日、全国の30空港の入国管理局と連携し、入国者全員に流行国の滞在歴の確認を始めたほか、医療機関と連携を強化する対策を打ち出した。(松尾一郎=ジュネーブ、伊藤綾)