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エボラ出血熱の脅威、米国の感染が蟻の一穴か


    2014年10月18日 17:47

エボラ出血熱の脅威、米国の感染が蟻の一穴か

 エボラ出血熱の二次感染があろうことか米国で起きてしまいました。国連が「あと60日が勝負」と訴えるほど差し迫っている人類への脅威です。しかし、最新情報では米国はまだ本気で取り組んでいなかったようです。CDC(米国疾病対策センター)と言えば感染症対策では世界中から一目置かれる組織であり、そこが感染防止に失敗したなら手の施しようが無くなると思えたのですが、感染した看護師の防護ガウンは手首や首が露出する簡易タイプで、実地訓練もされていなかったと言います。看護師は微熱がある状態で隔離される前日に民間機に搭乗したことも明らかになっており、米国での感染が蟻の一穴にならぬよう願いたいものです。

 WHOの感染状況リポートによると、10月13日現在で患者9216人、死者4555人です。9月14日現在が患者5335人、死者2622人ですから、1カ月足らずで患者が3881人、死者が1933人も増えています。国連のエボラ出血熱対策チーフが国連安全保障理事会に西アフリカからテレビ中継で「エボラ出血熱を今止められなかったら、世界は完全に未曽有の事態になる」と警告しました。12月までの60日間に「感染者の70%を療養施設に収容し、死亡者の70%を二次感染なく埋葬しなければ、感染拡大は止まらない」と言うのです。

 医療ガバナンス学会のメールマガジンでベイラー大学病院ベイラー研究所の滝田盛仁医師が《Vol.239 現地レポート(2): 拡大した米国でのエボラウイルス感染》を出しています。死亡したトーマスさんは1回目の受診では抗生剤をもらって帰宅になり、容態が悪化して2回目で入院でした。詳細を知ると、オバマ大統領のエボラに掛ける意気込みとは落差がありすぎてショックでした。

 《なぜ、病院で2次感染?――具体的にどのような作業が原因で、2人の看護師がエボラウイルスに感染したか未だ不明である。病院の説明では、2回目にトーマスさんが救急搬送されて以降、医療スタッフは全員、CDCのガイドラインに沿って、ガウンや手袋、マスクなどの血液・体液感染を想定した感染防御対策をしていたという。エボラウイルスに感染した2人の看護師は、1回目にトーマスさんが救急外来を受診した際に診療に携わっておらず、感染防御対策を開始した2回目の来院からトーマスさんの治療に当たっている。
 これに対し、全米看護師連合 (National Nurses United)の調査によれば、(1)トーマスさんは救急搬送後、数時間、個室に隔離されていなかった, (2)手首や首が完全に締まらない簡易タイプのガウンが看護師に支給された, (3) 看護師を対象とした実地訓練は実施されていなかったなど、病院の受け入れ体制に不備があったと言う。病院長はトーマスさんの1度目の救急外来受診について対応のミスを認め、公式に謝罪した。現在、CDCが真相を究明中だ》

 微熱があった看護師が搭乗したクリーブランドからダラスへの飛行機にはオハイオ州とテキサス州の小学校児童が乗り合わせており、臨時休校措置がとられています。スペインでの二次感染も心配ですが、米国でのウイルス拡散の恐れはより深刻です。やはり感染爆発が心配された中国の鳥インフルエンザについては3月の第414回「鳥インフルエンザ、終息せず散発発生を継続」で発生状況を集約しました。

http://blogos.com/article/96748/

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