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航空「エボラ時代」突入 乗客検査強化、機内清掃も見直し


航空「エボラ時代」突入 乗客検査強化、機内清掃も見直し

配信元:ブルームバーグ2014.10.16 05:00

マケドニア共和国のスコピエ空港に設置されたサーモグラフィーを利用して、搭乗者の体温を監視する医療従事者。航空業界はエボラ出血熱への警戒を強めている(AP)
 エボラ出血熱の感染がアフリカ以外の地域でも相次ぐ現状を受け、欧米の空港や航空会社は水際での感染者発見に努めようと、乗客を対象とした検査体制の強化に動いている。今後は厳重な警戒の下、飛行機の乗り降りや出入国の手続きに従来以上の時間がかかる可能性がある。

関連業務に携わる航空・旅行各社には、新たに到来した“エボラの時代”への迅速な適応が求められることになりそうだ。

◆警戒感の高まり反映
飛行機で目的地の空港に着陸した後、すんなりと機外へ出してもらえる時代は終わりを告げたのかもしれない。今や航空各社の乗務員は、着陸後の機体を駐機場にとどめ置き、エボラウイルスに起因する体調不良を訴える乗客がいないことを念入りに確認するようになった。

米国の空港では、過去2週間で検疫担当者による検査を受けた乗客の数が前年同期の2倍に達している。ニューヨークのケネディ国際空港は先週、ギニア、リベリア、シエラレオネからの渡航者を対象にした検査を実施。今週は同空港に続き、ワシントンのダレス国際空港など国内の4つの空港が同様の検査を新たに開始する予定だ。

これまで空港の検査でエボラ感染者が発見されたケースはないものの、こうした取り組みの強化は航空会社とその従業員らの警戒感の高まりを反映したものにほかならない。米国内で最初に感染が発覚したリベリア人男性は、ベルギーのブリュッセルから米ワシントンを経由し、テキサス州ダラスの空港に到着していた。

ピッツバーグに拠点を置く医療コンサルタント、STAT-MDは、米デルタ航空をはじめとする約20の航空会社と業務提携している。同社を率いるT.J.ドイル氏は「この10日間、1日に2回から4回程度は航空機の搭乗員から電話で問い合わせがある。機内の乗客に病気の兆候がみられた場合は、エボラの可能性が真っ先に疑われるようになった」と説明する。

一方、ロンドンのヒースロー空港は14日、欧州で最も厳重な感染予防対策の一環として、エボラ感染が広がる国からの渡航者を対象とした検査を開始。今週末までにすべてのターミナルで、体温測定や健康に関する質問などを通じた15分程度の検査が実施される。

来週には同じくロンドンにあるガトウィック空港や鉄道のセントパンクラス駅でも同様の措置がとられる見通しだ。セントパンクラス駅は英仏海峡トンネルを通って英国と欧州大陸を結ぶ「ユーロスター」の乗り入れ駅で、パリやブリュッセルから旅行者が訪れる。

◆一時ボイコットも

限定された空間での感染リスクが懸念されることから、飛行機内の清掃業務に関する注意事項も見直されつつある。米疾病対策センター(CDC)は今月に入り、航空会社で機体管理を担当する従業員を対象に、体調不良の乗客が使用した座席周辺の消毒を徹底するよう改めて呼びかけた。

今月9日にはニューヨークのラガーディア空港で働くデルタ航空の請負業者の社員が、機体客室の清掃業務を一時的にボイコットした。サービス従業員国際労働組合(SEIU)は、客室の環境が医学的に安全とはいえず、エボラウイルスへの感染を含む潜在的なリスクがあったと主張している。

現時点でオバマ政権は、エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカ諸国からの渡航禁止には踏み切っていない。これに対し英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は、シエラレオネへの運航便を停止した。このほか仏エールフランスは、シャルル・ドゴール国際空港で検疫を行いつつ、ギニアの首都への運航便を継続している。(ブルームバーグ Michael Sasso、Kari Lundgren)

http://www.sankeibiz.jp/smp/compliance/news/141016/cpd1410160500007-s.htm

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