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異業種から医療分野へ ─ エボラ薬開発の富士フイルムにみる大企業の成長戦略

http://www.afpbb.com/articles/-/3024720?pid=0

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異業種から医療分野へ ─ エボラ薬開発の富士フイルムにみる大企業の成長戦略

2014年09月02日 09:43 発信地:東京



異業種から医療分野へ ─ エボラ薬開発の富士フイルムにみる大企業の成長戦略
×リベリアの首都モンロビア(Monrovia)にある国境なき医師団(Doctors without Borders、MSF)運営の病院で、エボラウイルスによって汚染された用具を焼却処分する職員ら(2014年8月30日撮影)。(c)AFP/DOMINIQUE FAGET
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【9月2日 AFP】日本政府が、西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱の治療に役立つ可能性のある新薬を提供する用意があると発表した時、その発表内容には一つの聞き慣れない点があった──薬の製造元が、カメラや証明用写真ボックスで知られる富士フイルム(Fujifilm)であるということだ。

 この新薬は、富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業(Toyama Chemical)が開発した「アビガン(Avigan)」(一般名ファビピラビル)。国内でインフルエンザ治療薬としての製造販売承認を取得済みだが、エボラ出血熱にも効果があるとの期待が寄せられている。

 富士フイルムの古森重隆(Shigetaka Komori)最高経営責任者(CEO)は同社のウェブサイトで、X線画像診断システムや医療ITシステム、化粧品、サプリメントや医薬品の開発によって「『予防』『診断』『治療』の領域をトータルにカバーする総合ヘルスケア事業」を成長させていくと述べている。

 異業種から医療分野に事業を拡大しているのは富士フイルムだけではない。ソニー(Sony)やパナソニック(Panasonic)、東芝(Toshiba)などの大手企業でも同様の動きがみられる。こうした傾向の背景には、厳しい価格競争や縮小する国内市場に加え、世界の市場で優位に立つことが困難になった現状がある。

 ソニーはこれまで培ってきたブルーレイディスク技術を、がんなどの研究に使われる細胞分析装置の設計に応用した。

 パナソニックは病院内で薬剤などを自動で搬送するロボット「HOSPI」の販売を開始。同社は2年間で計150億ドル(約1兆5000億円)の巨額損出を出したが、現在は不安定ながらも回復しつつある。

 一方の東芝は他社の一歩先を行き、企業立病院「東芝病院」を東京(Tokyo)に設立。院内の機器はほぼすべて自社製だ。

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 成長への道を模索する企業が医療分野に着目する背景には、日本で急速に進む高齢化があると指摘するのは慶應義塾大学ビジネス・スクール(Keio Business School)の中村洋(Hiroshi Nakamura)教授だ。

 中村教授は「日本の製薬産業は、今後、国内市場の拡大が見込まれる数少ない産業の一つ」と指摘。技術力や法規定といった業界への参入障壁は、精密な研究に慣れている電機メーカーにとっては有利に働くことが多く、独自製品の多くが苦戦を強いられていることからの危機感もこれに加わるという。

「富士フイルムは、製薬業界への参入を何とか果たすことができた企業の一つだ。カメラ事業で培ってきた技術や、経営危機に対する強い自覚のほか、大手製薬会社との差別化を図るという明確な方針などが功を奏した」(中村教授)

 医療業界への参入は、電機メーカーにとどまらない。ビール大手キリンホールディングス(Kirin Holdings)も、傘下企業が、がんや肝臓病、高血圧などの治療薬を製造する。また、医薬総合研究所を持つ日本たばこ産業(Japan Tobacco、JT)は、独自の抗HIV薬や、皮膚がんの一種であるメラノーマの治療薬を米国などで販売している。(c)AFP/ Katie FORSTER

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